気まぐれな女神
第51話 「女神」
おっさんの仕事は現場での作業が主になるため、在宅ワークとは無縁である。
通常2月は仕事の量も落ち着くらしいのだが、今年はコロナの影響のせいで、1月の分の仕事が2月に変更となり、今は忙しく動き回っている。
必然的に帰宅する時間も遅くなり、おそらさんを一人にする時間が増えてきていた。
おそらさんが寂しい思いをしなくても済むように、少しでも早く帰れるようにしたい所だが、ペーペーのおっさんには、まだ時間をコントロール出来る程の腕も経験も無い。
「そうだ!猫用のおもちゃを買いに行こう!」
嘆いても現状が変わる訳ではないため、おそらさんが待ってくれている間、少しでも気を紛らわせる物があればと思い、丁度おそらさんのご飯(カリカリ)が切れたこともあり、一緒に買いに行くことに。
いつも行くホームセンターに着いて、まずはおそらさんのご飯をゲット。
そして猫用グッズの売り場へ移動。
売場に着くと、以前購入したものの、おそらさんに戦力外通告を受けたおもちゃ達が目に入った。
おそらさんとの生活を始めた頃、ご飯を買いに行くと必ず猫グッズのコーナーに寄っては何かしら購入してきていた。しかしながら、その半数以上は余り興味をもってくれないものだった…
おそらさんはご飯に関しては優等生で、好き嫌いが殆ど無い。
そのため、どんなご飯を買ってきてもおいしそうに食べてくれる。残すこともしないので、非常に飼い主想い(?)である。
が、しかし、おもちゃに関しては拘りが強い。
以前蹴りぐるみの「エビ1号」がボロボロになったので、同じような形の「エビ2号(少し安い)」を購入してきたが、材質と色が違うせいか、「これじゃ無い!」とばかりにスルー。また、音がするのは興味がないらしく、小さいボールに鈴が入っているものは、近づけて遊ばせようとするも見向きもしない。そして子猫の時は遊んだ物が、成長と共に興味が無くなったものも多い。
なかなかの気まぐれ女神である。
そんな女神の喜ぶ姿が見たくて、今日もおっさんは商品を選ぶ。
どんなに失敗しても、結局このループからは抜け出せない(笑)
本日購入したのは、爪とぎの回りにボールがついて遊べるもの(税抜き980円)
遊ぶのは興味がなくても、爪とぎとしては使えるかなと思い購入。←ちょっと弱気
自宅に戻り、お披露目をしたら食いつきは悪くなかった。
おっさんがいない間、遊んでくれると嬉しいなと思う反面、一緒に居る時間を増やすために、仕事の効率を上げて早く帰れるようにしなきゃなと、心に誓うおっさんであった。
つづく